《水都大阪 水辺散策手帖》エリア別水辺散策案内 5「道頓堀川エリア」
【エリア別水辺散策案内】
大阪ミナミのネオンを川面に映す
道頓堀川エリア
大阪・ミナミの真ん中を東西に流れる全長約2.7kmの道頓堀川は、大阪で最も有名な堀川であり、都心に残された貴重な水辺空間です。エリア屈指のフォトスポットである「道頓堀のグリコネオン」はじめ、賑やかなネオンサインが並び、大阪のエネルギーが凝縮されています。
道頓堀川の形成
東横堀川とつながり木津川へ流れる道頓堀川は、豊臣政権下で「新川奉行」に任命された成安道頓が開削を始めました。ところが大阪夏の陣の勃発により道頓は戦死しましたが、徳川政権になっても事業は引き継がれ、元和元年(1615)に完成しました。私財を投じて開墾に尽力した成安道頓の功績を認められて「道頓堀川」という名称になり、川沿いの新たな敷地に芝居小屋などの営業が許可され、歌舞伎の中座などの芝居小屋が立ち並び、劇場の街として大いに栄えました。これが現在のミナミ界隈の繁栄につながっています。舟運が盛んだった明治の中頃までは、屋形船や茶船で観劇に出かける客も多く、川から劇場へ直接入れるようになっていました。
舟運が廃れると道頓堀川はすっかり街の裏側になってしまっていまいましたが、平成16年(2004)に戎橋から太左衛門橋間までの道頓堀川両岸に遊歩道「とんぼりリバーウォーク」が完成すると、遊歩道にテラス席を出す飲食店が徐々に現れはじめました。桟橋からは遊覧船が発着できるようになり、現在では水陸で水辺散策が楽しめるエリアとして多くの人で賑わっています。
『浪花百景 道頓堀角芝居』歌川国員、江戸後期(大阪市立図書館デジタルアーカイブ)
『浪花名所図会 道とんぼりの図』歌川広重、江戸後期(国立国会図書館デジタルコレクション)

とんぼりリバーウォーク

道頓堀川夜景
道頓堀ミュージアム並木座
道頓堀川の開削に伴って開通した道頓堀川沿いは、江戸時代から昭和初年まで「道頓堀五座」と呼ばれる芝居小屋(角座・浪花座・中座・朝日座・弁天座)が建ち並ぶ世界的な芝居町でした。しかし、次第に衰退して現在は飲食店街になっています。
そこで平成31年(2019)に道頓堀ミュージアム並木座がオープンしました。ここでは往時の芝居文化を体験でき、また様々な公演も行っています。劇場の名は、舞台装置の「回り舞台」や「せり(舞台の一部を昇降させる装置)」を考案した並木正三(なみきしょうぞう)(1730〜73)にちなんでいます。

道頓堀ミュージアム並木座
湊町リバープレイス
「湊町リバープレイス」は、大バコライブハウスなんばHatchを核とした複合施設です。その八角形のフォルムと道頓堀川遊歩道と隣接するイベントスペース「プラザ」の大階段は、大阪ミナミのランドマークとして親しまれています。
湊町リバープレイス
浮庭橋
湊町リバープレイスと南堀江地区を結ぶ人道橋「浮庭橋」は、水の都大阪を再生する道頓堀川水辺整備事業の一環として、平成20年(2008)に設置されました。この橋のデザインは、内藤俊彦氏による「浮かぶはらっぱ」がコンセプトで、2本のメインケーブルにより、斜め45度に河川を横断するメインデッキを吊り、横揺れを防止するために、河川と直交するサブデッキをメインデッキに剛結させています。橋の上には、芝生や低木、両端にシンボルツリーが配置され、側面にはツタが絡まる緑あふれる橋で、渡るだけではなく、芝生やベンチなどの「たたずみスペース」で憩うこともできる橋となっています。

浮庭橋